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崖っぷちに立つスイス国立銀行
右の図は今現在の、ドル円のポジション動向です。ポジション動向は、市場の参加者が、どんなポジションを持っているかを図にしたものです。左側は指値注文、右側は未決済ポジションです。ちなみにこの情報は、OANDAが無償提供してくれています。
さて、未決済ポジションの図(右)のなかで、オレンジが今勝っている人、ブルーが負けている人です。昨日から今日はドル円が急騰したので、下のほうに主に未決済ポジションが固まっています。
右上のブルーは、82-84円くらいでドルを買ってしまったトレーダーです。この水準でドルが動いていたのは、1、2ヶ月も前なので、このブルーはいわゆる、「塩漬けポジション」ですね。塩漬けポジションは、少しでも利が乗ると売ってしまうのが世の常なので、これがドル円の上値が重い一因でしょう。
ドル円はドル円で、このチャートから色々とわかって面白いのですが、もっと面白いチャートはEUR/CHF(ユーロ/スイスフラン)です去年トレードをされていた方は、9月頃にじわじわと下がっていたEUR/CHFが急騰したことを覚えている方も多いでしょう。
その原因は、スイス国立銀行がスイスフラン高に業を煮やし、国内の輸出産業を守るためにスイスフラン売り介入を行ったことでした。まるで日本のようですね。
しかしそのとき、スイス国立銀行は驚くべき発表をしました。
EUR/CHF = 1.2000
この水準を下回る、スイスフラン高は容認しない。
と、明確に下限を設定してしまったのです
これは日本銀行が、ドル円が85円以下は容認しない!と言ってしまうようなものです。
さて、上のチャートを見てください。ユーロ危機が再燃する中EUR/CHFは再び1.2010の水準まで下げていますが、そのちょっと下には、大量の売り(指値)注文があることがわかります。
これはどういうことかというと、スイス国立銀行が、市場に打ち負かされることに賭けている人がいる、ということです。スイスフラン高を抑えるには、当然のことながらスイスフラン売り、ユーロ(ドル)買いの大量の注文を入れる必要があります。日本銀行の円売り介入も同じです。
しかしこの注文にも原資が必要です。中央銀行にお金がなければ、それ以上介入を続けることは出来ません。つまりスイス国立銀行が力尽きて、EUR/CHFが1.2000を割ったら、そこから一際大きくEUR/CHFが下がる可能性が高いのです。
実際にこれと同じようなことが、1992年にイギリスで起きました。イギリスは自国通貨を高値で安定させる政策を取っていましたが、イングランド銀行が英ポンドを買い支えきれず、ジョージ・ソロスを始めとするヘッジファンドたちに売り負かされたのです。結果その後英ポンドは急落しました。
今回も同じようなことが起きるかどうかはわかりませんが、スイス国立銀行が売り介入できているうちはトラップトレードで利益を狙い、それが出来なくなったら反転ドテンを狙うような戦略が考えられます。
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